Luvit Tex Take Mix

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ハリウッドザコシショウ ”ゴキブリ男”

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2016年R1ぐらんぷり優勝を飾ったのは、あらびき芸でおなじみのハリウッドザコシショウだった。同期は中川家陣内智則ケンコバなど。
優勝賞金と共に深夜での冠企画番組、そしてついには歌手デビュー。プロデューサーはソロアルバムリリース、そしてバンドでのアルバムリリースを控えた石野卓球だ。
石野卓球といえば、篠原ともえのファーストアルバムの全面プロデューサーであり、数々のリミックスワーク、楽曲提供を行う国内きってのテクノ、ポップスプロデューサーであり、電気グルーヴというテクノカルチャーを大胆かつ下品に時にシリアスに日本という国に広めた男だ。
WIREなど国内レイヴの主催でもお馴染み。

 

そんな石野卓球ハリウッドザコシショウというサブカルチャー気質の二人が作った楽曲が
「ゴキブリ男」だ。ダウンロード配信限定だったが、7インチレコードでのリリース筆者は飛びついた。
作詞作曲石野卓球 コーラスに盟友ピエール瀧も参加。
MVはかなり強烈でYouTubeでの評価も賛否を呼んでいる。

 

 

曲構成は全てサビでゴキブリ男!を連呼する中毒性の高い曲で、ザコシショウのお家芸である”誇張されたザキヤマ”や”誇張された野々村議員” ”どこかにいそうなジジイ”の叫びがディレイされた声でスピーカーから流れる。アガる。

 シンセのコードとリフSEセリフが入り混じるがちゃんとポップミュージックとして狂気をとりいれている風だ。ビートはなんとなく「人間と動物」辺りの音色に近いデジタル寄り。

元来音ネタ替え歌などのネタは豊富で、卓球に「歌が上手い」と言わしめた歌唱力。

 

文脈でいうと、芸人がCDを出すと酷いというのがエンタ芸人以降風潮としてあるが、タブーに飛び込む芸風のザコシショウにとって、或いは「ゴキブリ音楽独占!」と語る卓球にとってこの邂逅は、YMOスネークマンショーの”タイトゥンアップ”のカヴァーや、”MCコミヤの遣唐士です!”などの珍曲達と並ぶ。

愛のある露悪と笑いを愛す卓球なりの人生のセルフパロディというべき解釈も取れるし(そういえば電気グルーヴのツアーで恐怖カメレオン人間!をアンコールでやってました)まず7インチっていうのが良いです。データでも良いですが、ギネスに載らない天才新庄を思い出します。メジャー級。

Gigi Masin 04/16 @大阪 Grotta dell’ Amore

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このブログでは、ライブやレコード屋に行ったという報告も付けていくつもりでいる。私は、何時間か列車に揺られ、何ヶ月かぶりに大阪の心斎橋へと向かう。今日はGigi Masinの初来日という歴史的な出来事が待っていたから。

Gigi Masinは、昨今再評価の波にあるイタリアのアーティスト。どうやらとんでもなく良い音楽を結構長いことやってるらしいぞ、というところから火が付き、遂には来日公演に漕ぎ着けた。ファースト・アルバムの「Wind」は、アンビエントの大名作として知られ、実はSub Rosaから出ていたり、最近には国内盤も出たほどだ。(私はTSUTAYAで借りた。)ディスヒートのチャールズ・ヘイワードとのコラボ・アルバムの昨年のリイシューも大きな話題を呼んでいた。彼が脚光を浴びるキッカケとなったのはやはり、昨今のニューエイジの波をより一層熱いモノとしている気鋭レーベル、Music From Memoryからのコンピレーション「Talk To The Sea」での発掘だろう。彼は今に至るまで絶え間なく活動してきたが、これによって制作意欲が湧いたのか昨今は怒涛の勢いでリリースを繰り広げている。

今回の大阪公演のライブ会場はNewtone Recordsの隣にあるホテルの地下にあるイタリア料理屋で、どうやらここはレンタルスペースでもあるらしい。ギリシア彫刻のような石像も配置されていてどこかヴェイパー的なミステリアスな空気を感じた。洞窟のような空間、音響も良さそうで、いい場所だ。今回はほぼ満員御礼と言っても差し支えないほどに人が詰まっていた。会場に100人はいただろうか。この手のアーティストのライブにしてはかなりの人数だ。昨今の再評価は本当に大きかったのだろう。

さて、曲名までは覚えていないのだが、何曲かアルバム収録曲の中からも演奏してくれた。やや薄暗い部屋の中、ラップトップからトラックを流し始めるとピアノに向き合った彼の音楽には人柄が滲んでいた。予定調和の連続とも言えるような運命的な演奏。絹のように滑らかで、繊細な音を紡ぎながらも、まるで拳で弾いているような力強いタッチで描く情景的な音楽。ピアニッシモとフォルテを行き来するような情熱的ながらも慈しみに満ちている。実際、彼の音楽はかなり感情的で、指というより手のひら全体を使って弾いているようにも見えた。彼の音楽にはやはり彼自身の誠実さのようなものも如実に表れていて、短調の暗い音楽ながらも、聴く側にはその心を委ねるに足りる安らかな感情が齎される。

彼の音楽にはドローン的な側面もあり、ラップトップから発される電子音やビートも私たちのパルスと重なってフロアに満ち溢れ、彼の奏でるグランドピアノの音色をより味わい深く彩っていた。所謂、バレアリックのようなエキゾチックな電子音楽をフィーチャーし、ノンビートというよりはリズミックな展開から起伏に富んでいたりと、退屈しない。一時間超に渡った演奏、最後はペダルを踏み、湿った鈍い低音を響かせて演目を終了した。アンコールは無し。これほどの演奏を前にアンコールを望むまでもないと言ったところか。一指違えること無くカンペキな音楽だった。機会があれば是非もう一度見たいと言ったところだが、いつの話になるだろうか。しかし、流石に思い残すことは無い。握手もしたし、サインも貰った。「最高」というひとことに尽きる。。

この公演は、4/18の東京公演にも続く。あなたもこの機会に是非、ご覧になられてはいかがだろうか?

 

4/18火 東京 Shibuya WWW | Gigi Maisn – balearic state -
OPEN 18:30 / START 19:00
ADV ¥3,300+1D / DOOR ¥3,800+1D
Ticket Outlet: e+ / Lawson [L:72573] / RA / WWW店頭
Live: Gigi Masin / UNKNOWN ME / Will Long
DJ: Chee Shimizu / COMPUMA *New Age set / 橋本徹
more info: http://www-shibuya.jp/schedule/007625.php

Turinn - "18 1/2 Minute Gaps" (Modern Love)

Love104 dist preview

このネクストレヴェルはもはや、あのSquarepusherAutechreの域まで達する驚異を孕んでいる。Andy Stottらインダストリアル・テクノの覇者達を擁するUK名門Modern Loveより放たれた新たなる刺客は今までとひと味違う、Alex Lewisというまだ名も知れぬ新人だった。レーベルいわく「マンチェスターのニュージェネレーション」とのことだ。BoomkatのRIYLにMove DLorenzo SenniKassem Mosseともあるが、言ってみれば、彼らの音楽をも越えた次元にこのベースミュージックはあるんじゃないだろうかとさえ感じる。"熱量"と"強度"が確立されているんだ。

蓋を開けてみるとこれまた万華鏡のように表情を変えてくれるから爽快極まりない。デトロイト・マナーの高速なリズムトラックから、人里離れた廃工場の中で行われる解体儀式のようなダーク・インダストリアル、黒光りするグルーヴに乗せて、僅かな「間」を埋め尽くすレイヴ感満載なアッパー・ハウスまで幅広いジャンルへと挑戦し、その懐の深さを見せつけてくれる。

Alchemy Masteringでのカッティングということもあり、マスタリングも秀逸でロウの出方から、重低音の効き具合もハンパじゃない。音響空間を支配するのは、残響音の心地好さとアシッド極まりない恍惚の鱗粉だろう。有機的かつ無機質という相反するテクスチャーを同居させたこれほどまでに異質なベースミュージックをこうも容易く捻り出すとは、Willowや今後リリースを予定されているCrowwと併せマンチェスターの現行シーンの熱さが物語られている。恐るべし、マンチェスター。一発目でこれなので、次はどんな爆弾を投げ込んでくるのか、今から楽しみでしょうがない。